2019年12月7日(土)、学習サポート教室DO-YAの懇親会が行われました。子どもや保護者、講師、スタッフ合わせて40人ほどが参加しました。前回の懇親会は今年の4月末、その時の人数の2倍以上の参加者があり、ルーツも韓国、中国、ベトナム、フィリピンと多様な子ども、保護者が参加し、場所も事務所に入りきらないため、近くの御幸森会館を借りて行いました。
曜日や時間帯バラバラにDO-YAに来ているため、互いに知らない子がいたり、知っていてもじっくりと話をしたことのない子たちが多くいます。御幸森会館に入った瞬間、「え?こんなにもいたん?!」とその多さに驚いていました。「お寿司が食べたい!」という子どもたちからの熱い要望でお寿司をはじめ、ピザ、チヂミ、からあげ、キンパ、焼きそばなどがテーブルに並びます。
代表理事の宋悟さんの挨拶が終わると、乾杯のかけ声で、お腹をすかせた子どもたちがいっきに食べ始めました。その後、スタッフの金和永さんがクロスベイスの理念や活動を紹介し、1年間のDO-YAの様子や体験活動DO/COの取り組みを写真のスライドショーを使って報告しました。夏休みの合宿で行った星のブランコ(ほしだ園地)やDO/COの活動写真が写されると、参加した子たちから「なつかしー」と声があがりました。また、12月2日に、DO-YAの2教室目として新しくオープンした少路教室の案内もありました。この日は5人の講師の参加があり、あらためて自己紹介がありました。あちこちで笑い声や話し声が絶えない温かい空気に包まれていました。その後、子どもと保護者に分かれて、子どもたちは人生ゲームやトランプ、ゲームなど好き好きに過ごす時間、大人たちはテーブルを囲んだ話し合いの時間に移りました。
保護者の方には、DO-YAの活動に対する思いや意見、家庭から見える子どもたちの変化など自由に話をしてもらいました。たとえば、現在週2回DO-YAに来ているが、もっと参加させたいから、活動回数を増やしてほしいといった意見や、来日間もない子どもの日本語の心配、思春期の子どもと保護者の会話は煮詰まってしまうといった話が聞かれました。他にも、不登校ぎみの子どもが、クロスベイスに通うようになってから少し学校に行き始めたという報告、主体的に勉強するようになり、子どもに自信がついてきたように思うといった話も聞かれました。保護者から見える子どもの変化を共有できるのはうれしいものです。
講師からは、DO-YAは勉強だけでない成長の場にしたいといった意見や、子どもの主体性を大事にするが放任ということではない、「雑談」という形で今の状況や気持ちを表現する機会をつくっているなど、ふだん子どもたちとのかかわりの中で大事にしていることをあらために保護者に伝える機会となりました。ある一人の講師は、自分の子どもの時の経験をふまえて、「なんのために勉強をするのか」ということを小さい頃ずっと考えていて、DO-YAでもそのことを考えながら子どもたちとかかわっていると話しました。
「なんのために勉強をするのか」
まさに子どもたちが日々向き合っている問いに、大人たちも改めて立ち止まって考える機会となりました。今回の懇親会全体を通して、クロスベイスの理念「自分のことは自分で決める」が、保護者の方々にも少しずつ共有されていると実感しました。ある保護者は、子どもに厳しく勉強しなさいと言ってしまうが、そこをぐっとおさえて、子どもの自主性に任せるようになったと話されていました。そして、「子どもが主体的になってきたように思う」「成績や集中力が前よりもあがったように思う」と子どもの変化を受け止めていました。
また保護者の子どもに対する心配、悩みに対して、クロスベイスのスタッフや講師が応えるというスタイルだけでなく、保護者同士が、それぞれの悩みや思いを共有し、そのことによって新しい気づきや学びが生まれているようでした。たとえば、先の話で、週2回だけでなくもっと活動日を増やしてほしいという保護者の思いに対して、別の保護者が、2回だから子どもは主体的にやろうとするのであって、その回数が増えると親が与えたものになってしまって主体的な場にならないのではないかと話されました。
ひとつの正解を求めるのではなく、主体的な学びをどうつくっていくか、そして、なんのために勉強をするのか等…クロスベイスの根幹になることを、運営側だけでなく、保護者のみなさんと考える場に少しずつなっているような懇親会でした。
今回韓国、中国、フィリピン、ベトナムなど多様なルーツをもつ子どもと大人が参加してくださいました。日本語が十分にわからないニューカマーの保護者に、まわりの大人や子どもが気にかけて声をかけたり、一緒にやってきた幼児がうっかりこぼしてしまったジュースを周りの子どもたちが拭いてきれいにしたり、大人たちが真剣に話をしている隣で、子どもたちはゲームで楽しみながらも大人たちが何を話しているか聞き耳を立てていたり…等、同じ時間と場所を共有することで見えてくる光景がありました。こうした光景は、次のクロスベイスの展開につながることを実感させるものでした。これからも保護者・子どもたちとの懇親会の機会をつくっていきたいと思います。