「第19回体験活動DO/CO 大池中学校卒 若手ファイナンシャルプランナーが語る 金融リテラシー~学校じゃ「絶対に」教えてくれないおカネのこと~」が、8月11日(土)に行われた。今年度から【イベント型】【探究型】【知識型】の3つに仕分けされたうちの【知識型】体験活動として行われ、中学生以上と大人合わせて14名が参加した。
この日の講師は現在、完全歩合制のファイナンシャルプランナーとして活躍している宋世羅(そん・せら)さん。大阪生野コリアタウンの地元・御幸森小学校と大池中学校を経て、早稲田大学を卒業した。30歳とまだ若いが、経歴はユニーク。府立高校の弱小野球部を経て、プロ野球選手を夢見て、2浪をして東京六大学・早稲田大学野球部に入った。その後、証券最大手の野村證券株式会社でみっちり営業を学んだ後、転職したという変わり種。
高校時代はほとんど勉強ゼロ。苦労して親に高い予備校代を払ってもらったにもかかわらず、親に隠れて1日中ゲーム・ドラクエなどにのめり込む。ほとんど予備校にもいかず、自称偏差値30台の「くそ野郎」だった浪人1年目、「宋は終わった」という友人たちの言葉に反発し、2年目は365日12時間以上勉強した、との回想から宋さんの話は始まった。1000人以上のたたき上げの経営者などと渡り合ってきた話し方は、とにかく歯切れがよい。自分の弱みさえも躊躇することなくさらけ出す。そんな話し方に参加した中高生も吸い込まれていく。さすがに鍛えられた営業マン。
若輩者と言いながら、生きていくために一番大切なことは自分自身に「自信を持つこと」だと言い切った。そのためには「挑戦」➡「小さな成功体験」の積み重ねが不可欠だと力を込めた。一般的に「失敗すればどうしよう」という不安が常につきまとうものだ。宋さんは「失敗をどう考えるかが重要で、失敗が将来克服できれば、それは克服に向けた糧だと振り返ることができる。自分の物語はあとから書き換えられる。失敗は失敗ではなくなる。だから現時点での失敗にとらわれないことが大切だ」と強調した。
次に「お金を稼げる人の特徴とは」というテーマについて話題が変わった。中高生に「将来、お金を稼ぎたい人は?」と質問すると、全員が素早く手を挙げる。すかさず「なぜ、お金は必要だと思う」と質問が飛ぶ。参加していたある高校生が「お金にとらわれない生き方をするため」と応えた。講師の宋さんは、「ほ~」と感嘆の声を上げて「なるほど、その通り」と。自分の経験から「お金を稼げる人」は、何より「信用がある人」、第二に「価値を生み出せる人」だと述べた。信用があるとは、約束を守ること、時間を守ること、メールを返信することなど、普段の生活の些細なことがすべてその人の信用につながることを強調した。「今まで出会ってきた一流の経営者は、約束時間に遅れたり、ドタキャンしたりする人は一人もいなかった」と。この言葉は参加した子どもたちの胸にも大きく響いたようだ。
そのうえで、自分の顧客の事例を出しながら、「年収1億7千万円以上を稼いでいるプロ野球選手がいるが、貯金が100万円しかない。一方で手取り月10数万円しかない25歳の看護師は貯金600万円ある。この差は何が原因か分かる?」と問いかけた。答えはシンプルだった。お金の使い道は、単純化すると「消費」「浪費」「貯金」の三つしかない、と。だから日々何気なく無意識にしている「浪費」の部分を「貯金」に回せるか、と。「収入-支出=貯金」と考えるのか、「収入-貯金=支出」にするのか。お金をためている人はまちがいなく後者の考え方をしていると中高生に語りかけた。
最後に証券会社を転職し、なぜ完全歩合制のファイナンシャルプランナーになったのかという理由を語りだした。「野村証券の時代のお客さんは、ほとんどが60歳以上の富裕層だった。みんなすごくお金を持っている。預金だけでも10億円以上というのはざらだ。その人たちにとって株で1億円増えようが、減ろうがあまり関係がない。言葉は悪いが『娯楽』。でも一般の人たちが保険の活用やお金に対する知識や考え方で500万円をつくることができれば、例えば子どもの大学4年間の学費をねん出できる。自分は『規模(金額)の大きさ』ではなく、(人にとっての)『価値の大きさ』に仕事の意味を見出した」と述べた。
参加者の感想シートには、次のような感想が記されていた。「失敗を強みにすることの大切さ」「失敗を怖がるのではなく、成功させるために努力して自信を得ることが大事だと知りました」「今まで、このようなことに参加したことがなくて緊張していたけど、楽しかったです。いい経験になりました」など。講師の宋さんの話に出てくる、「体育会系?」の努力と、金額(数字)の大きさに参加者は驚きながらも、実際の経験と自分で考えることに裏打ちされた話には、シンプルで普遍的な説得力があった。体験活動DO/COでは、これからもいろんなタイプのエッジの効いた(尖った?)大人との出会いを演出します。講師・宋世羅さんはブログを配信中。関心のある方はどうぞ。