第3回多文化ふらっとのセミナー「外国ルーツの子どもたちを支える」が、2月23日(火)、大阪聖和教会での対面参加とオンラインでの並行で開催されました。協力団体は、御幸森まちづくり協議会と、協力プログラムを進めている大阪大学社会ソリューションイニシアティブ(SSI)。当日の参加者は全体で78名でした。
今回のセミナーでは、「大阪市の西成・「ミナミ」・生野の市民活動の現場から見えるもの」をテーマに、それぞれの地域で外国ルーツの子どもたちの育ち、居場所づくり、学習など子どもを支える取り組みを行っている市民団体の経験を交えながら、今後の支援の方向を探ることを目的に開催されました。
セミナーの最初に、IKUNO・多文化ふらっとの「調査・提言」プロジェクトチームの卜田さん(常磐会短期大学教授)から、生野区在住の多様な職種の方々を対象にしたエキスパートインタビューの調査内容について報告がなされました。同プロジェクトでは、この調査に基づき、論文「大阪市生野区における『多文化共生のまちづくり拠点』に関わる実践者インタビューを通して」を作成しています。
セミナーでは、高谷幸さん(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)のコーディネートのもとで、
パネリストとして荘保共子さん(認定NPO法人こどもの里理事長)、原めぐみさん(Minamiこども教室実行委員)、金和永さん(NPO法人クロスベイス学習支援コーディネーター)の3人が登壇しました。
各団体の活動紹介から、新型コロナ禍に伴う活動変化などについても討論されました。設立から40年以上の実績がある子どもの里の荘保さんは、居場所のあり方を考える際に、「子どもの『いのち』をど真ん中におく」ことの重要性について語りました。そのうえで、こどもの力を支える3つの条件として、①意味ある大人との出会いー自分の気持ちをちゃんと聴いてくれる大人との出会い、②安心できる場との関係―ありのままの自分を受け入れてくれる場、③子どもを支えるシステム(制度)、について言及しました。
大阪「ミナミ」の繁華街が活動拠点である原さんからは、学習支援活動のみならず、子どもたちの生活背景をしっかり見ることの重要性について述べました。とくに新型コロナ禍が続く中で、連携団体と協力して弁当の自宅配布やオンライン教室、困りごと相談会などを積極的に行ってきたことも報告されました。
5人に1人以上が外国籍住民である生野区に拠点をおくクロスベイスの金さんからは、活動経験から学習支援と居場所の二つの存在は両立できる、という意見が出されました。そのうえで、学習支援にとどまらず、子どもたちと家族の生活を総合的にサポートできる多文化共生の「拠点」の必要性について強調しました。今回のセミナーを契機に、今後ますます大阪での多文化共生の代表的な地域である3地域の連携と協力関係も深めていければと、実感したセミナーでした。