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6月26日(日)に「生野の“日本語指導が必要な”子ども白書」の報告会が大阪市生野区にある在日韓国基督教会館(KCC)で開催されました。主催はNPO法人クロスベイス、共催はNPO法人IKUNO・多文化ふらっと、協力団体として大阪大学社会ソリューションイニシアティブ(SSI)。全体の参加者は99名で、小中高や大学の先生、研究者、各方面の支援団体、地域行政機関の職員、学生等さまざまな立場の方が一同に会し、熱気あふれる報告会となりました。
第1部の基調講演では、NPO法人青少年自立援助センターの田中宝紀さんを迎え、青少年自立援助センターYSCグローバルスクールでの日本語教育・学習支援の取り組みや外国ルーツの子どもの全国的な現状や課題についてお話いただきました。
近年の法改正等で改善されつつあるものの依然厳しい海外ルーツの子どもを取り巻く様々な課題、特に既存の支援制度の枠組みではこぼれ落ちてしまう若者の存在やマジョリティの意識についてなどまだまだ山積している問題があることが浮き彫りとなりました。また母語喪失が持つ意味や、母語の育ちの重要性についても言及されました。最後に「生野だからできるもう一歩先の取り組みの可能性」にも話が及び、改めて私たちにできることは何かということを問い直す機会となりました。
第2部では、NPO法人クロスベイスの理事である朴基浩さんから、今回の子ども白書プロジェクトについての報告がされました。今回の白書は当事者である子どもや保護者、支援機関に関わる人の語りによって、数字や統計ではあらわれにくいものを捉える試みで、白書をまとめるプロセスの中での得た気づきや提言を会場の参加者と共有しました。また次回の白書では量的調査を実施し、更に正しく深く実態を把握する予定であることを述べました。
第3部では榎井縁さん(大阪大学特任教授)のモデレーターのもと、パネリストとして第1部に引き続き田中宝紀さん、筋原章博さん(生野区長)、山田文乃さん(立命館大学講師、元大阪市小学校教諭)、宋悟さん(NPO法人IKUNO・多文化ふらっと理事・事務局長)が登壇し、クロストークが展開されました。筋原さんからは地域行政としての多文化共生への取り組みや、「異和共生(異なったままで、和やかに、共に、生きる)」という言葉が紹介されました。山田さんは他区の事例を紹介しながら市民主導による学校や区役所が参加する外国ルーツの子どもたちのケア会議の必要性について言及しました。宋悟さんからは子どもたちを中心に据えた多文化共生の地域づくりの実践として「いくのコーライブズパーク(いくのパーク)」について報告がありました。他にも各セクターとの連携協力、行政との連携の在り方やその具体的方策、教育と福祉、多文化ソーシャルワークの必要性など多岐にわたって話題が展開し、明日からの実践のヒントや将来への展望が散りばめられたクロストークとなりました。
<参加者の感想>(一部抜粋)
・多くの事例とそこに関わっている人々の思いが聴けて、とても勇気づけられました。積み重ねることの重要性と人の可能性を感じました。
・(白書が)こどもたちや保護者のインタビューから現状の奥にある本質に通る内容になっていると思いました。