「私たちのまち『猪飼野』を案内する、猪飼野ナビゲーターになろう!」をテーマに、10月27日(日)、体験活動DO/COが行われた。今回は、地域で連携しながら活動する一般社団法人「ひと・こと・つむぐ」と共催で行われた。
当日は大阪生野コリアタウンに隣接する大阪市立御幸森小学校の子どもたちなどに加えて、大阪・箕面市にあるNPO法人「暮らしづくりネットワーク北芝」に関わる子どもたちも参加。また、京都造形芸術大学の大学生ボランティア8名など大人含めて総勢30名がプログラムに参加した。地域、年代、国籍もそれぞれ違う多様な人たちが集まった。
最初の出会い、地域が違う子どもたち同士は緊張気味。クロスベイスの金和永さんの柔らかい感じの軽快な進行のもとプログラムは始まった。自己紹介、名前を覚えるアイスブレイキングのゲームでは笑い声も聞かれるようになり、すぐに打ち解けた雰囲気に。
午前中のプログラムは、二つのグループに分かれ地元の子どもたちが、生野コリアタウンの周辺をナビゲーターになって案内した。なぜ生野区には在日コリアンが多く暮らしているのか、生野という地域が古代から朝鮮半島との関係が深いことなど、それぞれ歩きながらポイント場所で説明していく。平野川、コリアタウンの店舗前に置いてあるトルハルバン(韓国・済州島の守り神)、大阪朝鮮第四初級学校、ユネスコクールである母校の御幸森小学校など。
主催団体では子どもたちが猪飼野ナビゲーターとして、全国から生野コリアタウンに人権研修の一環として訪問する学校や社会団体に、まちの歴史や現状を紹介できるようになればと夢を膨らませている。
ランチタイムでは北芝の子どもたちは、コリアタウンで人気のタピオカやチーズホットックはもちろん美味しい韓国食を思い思いに満喫した。午後からは、今年5月に行った「猪飼野せんべい」の販売活動に続き、その第2弾として体験活動を行った。売上向上に向けて宣伝看板をつくった。京都造形芸出大学の大学生ボランティアと一緒になって知恵を絞り、短時間で販売アピールの文言を書き連ねていく。
コリアタウンの2ヵ所でブースを出し、販売活動がいよいよ開始。大勢の来街者で熱気あふれる商店街の様子を前にして、最初はなかなか声が出ない。ところがしだいに、子どもたちは自分で考えた言葉で、大きな声を出して来街者に働きかけ始めた。「地元のまちで、作ったせんべいで~す!おいしいですよ」「時間限定の1時間だけの販売で~す!」「売り上げのうち100円は、これからの子どもの活動基金になります。よろしくお願いしま~す!」。参加した子どもの感想が印象的だった。「売るのは思っていたより大変だった。でも楽しかった」「一人が頑張ることで、他の友だちにも思いが広がり、自然とつながっていくことに気づいた」など。子どもたちにとって商売の難しさや楽しさを体感する良い機会となった。また声を出すこと、身体を動かすことで元気になることも学んだ。
プログラム終了後の全体の振り返りでは、大学生や大人のスタッフからは「子どもたちの柔軟な発想や対応に感心した」「今日の出会いは一期一会。1回ごとの出会いを大切にしていきたい」「これからも別の形で北芝の子どもたちとも出会える機会をつくれれば」などの意見が出された。地域、年代、国籍などが違う人たちが、同じ場所に集まり一緒に何かを取り組むときに垣間見せる笑顔や真剣な表情に、将来の地域の可能性を感じた。京都造形芸術大学の中村ゼミの大学生たちは、これからも授業の一環として生野区での多文化共生のまちづくりプログラムに関わっていく。新たな交流と学びが楽しみだ。