2018年8月9日〜17日の8日間にタイにあるドゥアン・プラティープ財団(以下、プラティープ財団)や財団が運営している生き直し学校(チュンポン校・カンチャナブリ校)に訪問しました。主催はタイの「生き直しの学校」を支援する会(代表 荒巻裕・近畿大学名誉教授、吉田暢子・同支援する会大阪事務所長)で、大学生や教員など40名が参加しました。
ドゥアン・プラティープ財団の始まりはプラティープ・ウンソンタムさんがタイ国内で一番大きなスラムであるクロントイスラム(以下、クロントイ)で始めた「一日一バーツ学校」でした。立ち退き問題や軍への交渉など多くの問題に今も取り組み続けているプラティープ財団や子どもたちが生活している学校を訪問させていただいたことで多くの学びがありました。
今回の旅ではクロントイでのフィールドワークも実施させていただき、子どもたちの親子さんにもインタビューをさせていただくという貴重な体験もさせていただきました。
インタビュー中で、子どもたちの親子さんだけでなく、スラムで生活する人たちの多くが日雇い労働者であることや、家の中も雨漏りが多く、安定した生活を送ることの難しい方たちがいるということを知りました。
そして、プラティープ財団が支援している子どもたちの多くがクロントイで保護された子どもたちです。子どもたちの中には親に虐待を受けた子やスラムに住む大人に性的暴行を受けた子など心に大きな傷を持った子たちがいます。
正直、私は訪問するまで子どもたちにどう接するべきなのか本当に悩みました。自分に何ができるのだろうか、彼ら彼女らに何を伝えられるだろうか、そんなことばかり考えていました。しかし、私の心配とは裏腹にチュンポン校・カンチャナブリ校にはたくさんの子どもたちの笑顔がありました。
少しの期間ではありましたが、彼ら彼女らと生活をしている中で、お互いに支え合い、強く生きている姿を何度も見受けました。そして、プラティープ先生が「来てくれたこと、本当にありがとうございます。あなたが来てくれることを子どもたちはとても楽しみしていて、そして彼ら彼女らの生きがいにもなっているのですよ」と伝えてくれました。
彼ら彼女らに何かできることはないかということを考えていた私にプラティープ先生が伝えてくださったお言葉が『何かをしてあげるというのではなく、人と人がつながりを持つことこそが大切なのだ』と気づかせてもらえました。
今回の旅は私にとってすごく貴重で勉強になることばかりで、クロスベイスのスタッフとして参加できたことをとても嬉しく思います。しかし、旅に参加したということだけで終わらせず、タイや日本、世界で起きていることについても目を背けず、考え続けることが大切だと感じています。そして、それを多くの人に伝え続けられる人であり続けたいと思います。
松井由真