DO-YAに通う中学生は勉強が苦手な生徒が多い。それでも基本的に毎週教室に足を運ぶ。なんとか成績を上げたい意欲をもつ生徒もいるし、自分の将来に少々投げやりな様子で、「中学卒業すれば、高校に行かずに遊ぶ!」とうそぶく生徒もいる。ある生徒は自分を表現することが苦手で、いろんなことを聞いても、いつも一言単語だけで返答する。外見上は、いろんな個性が違うDO-YAの受講生だが、共通点がニつある。それは、みんな「心根が優しい」ところと、学力に関しては「読解力」が弱いところだ。基礎学力が必要な子どもたちの現場にいると、ベストセラーになった「AI vs.教科書が読めない子どもたち」(新井紀子)の内容に「ほんま、そうやなあ」と、とても納得してしまう。「国語ゼミ AI 時代を生き抜く集中講座」(佐藤優)も参考になる。
その本には、だいたいこんな内容が書かれている。AI(人口知能)にできることと、できないことを明確にするためにAIを搭載した「東ロボくん」に大学入試問題を解かしたところ、現時点でも私立難関大学と言われるMARCHや関関同立の一部には合格する。全受験生の上位20%に入るレベルだ。AIは所詮機械なので数学の論理、統計、確率を駆使して答えを導き出すので、これからは特に人間しかできない「推論」する力や「創造」力などを身につけていかなければならない。
しかし、現実の多くの子どもたちの学力は、中学校の教科書を読めないレベル、「意味が分からない」深刻な状況にあると。ドリルをデジタル化した教材を使う塾が増えているが、問題を読まずにドリルをこなす能力を身につけさせることは無意味なこと。たとえAIの深化によって新しい市場が開拓されたとしても、それを担える人がいないと。その結果、筆者は日本の未来予想図を、超少子高齢化が進む中で「企業は人手不足で頭を抱えているのに、社会には失業者があふれているー」と喝破する。
夏休みからDO-YA のある中学2年生と「読解力演習」と称して、新聞の社説を丁寧に読む学びを始めた。最初、できるだけ簡単な社説を選び、音読をしてみた。そのうち25以上の漢字の熟語などが読めなかった。「経営効率優先」の漢字と意味のイメージが分からない。これでは教科書は読めない。将来、簡単な契約書や仕様書も読めないし、意味も分からない。でもここで諦めるわけにはいかない。最近は、少しづつ受講生も慣れてきた感じ。「心根の優しい」子どもたちの生き抜く力を育むために、DO-YA の講師も試行錯誤を繰り返している。頑張ろう。