NPO法人クロスベイス主催の連続公開セミナーⅠ「子どもが『うまく生きていく』とは、どういうことか?~ユネスコスクール・御幸森小学校の教育実践から考えてみる~」が、2月17日(土)午後2時からクロスベイスの事務所で実施されました。参加者は20名で、小学校の教職員、大学教員、保護者、大学生、区役所職員、商店街の会社経営者、大手民間学習塾の幹部職員、NPO関係者など多彩な顔ぶれとなりました。
最初に、宋悟代表理事が「いま教育には多文化共生社会、格差リスク社会、知識基盤社会、成熟した市民社会への対応が求められていると言われる。子どもに知識も思考力も人間性も身につけることが強調されているが、そもそも可能なのか。子どもが『うまく生きていく』ことの内容は、いろんな立場によってちがってくるもの。今回のセミナーでは、日常の忙しさから離れて『鳥の目』になってさまざまな意見や思いを素直に交換できればと思う」と述べました。
そのあとゲストの韓文亨先生が、ユネスコスクールである御幸森小学校の教育実践を報告しました。とくに子どもたちの自尊感情の醸成や「折り合い力」を育むことを目標に、地元の生野コリアタウンの歴史や文化をフィールドワークの訪問者に解説・案内する「猪飼野ナビゲーター」などの教育実践などについて豊富な事例を交えながら報告しました。
参加者からは、意見が途切れることなく出されました。「しんどい子どもたちの居場所をつくっているが、なかなか子ども同士で交わることが難しい。どうすればよいか」「学校の現場で子どもたちを見ていると自分のことを自分できめることができていない。先日外部講師を招いた講演の中で、そのことの大切さを気づいた子どもたちが多かったことに驚いた」。
「会社では経営者が『正論』を振りかざして社員をつぶしてしまう場合がある。『正論』と『正解』は違う。そのあたりが難しい」「人工知能(AI)などの深化によって、学びや人間のあり方自体が大きく変わろうとしている。学習塾の存在意義や学びの意味について、日々考えさせられている」など。予定時間を大幅に越えた討論の場になりました。クロスベイスでは、今回のセミナーを踏まえて、2018年度も年3回ほどの連続セミナーを開催していきます。