1月19日(土)、第14回体験活動DO/CO『こえとことばで自由に表現!』が開催されました。これまでの体験活動に参加した子どもを中心に、大人を含めて11名の参加がありました。これまでの体験活動ではもっとも少ない参加人数でしたが、とても濃い2時間になりました。
今回は、じぶんの言葉を、「詩」という形にしてみるワークショップ。講師に小泉朝未さん(大阪大学大学院臨床哲学研究室)を迎えて、互いに詩をつくり、聞きあう時間を過ごします。
詩というと、小学生は学校で習ったことのある俳句や短歌を思い出すことが多いようです。活動を始める前は、「今日は五七五のやつ作るの?」、という質問も多くありました。今回は枠にとらわれず、自由に作ってみる詩だよ、と言いつつ、始まるまではどんなものができるか、私もまったく予想がつきません。
まず講師の小泉さんが、自己紹介をしながら、自分の名前について言葉を紡ぎます。普通に話しているようでもあり詩のようでもある、不思議な自己紹介を終えて一言、「これも詩なんですね」。話し言葉がそのまま詩になるような言葉に、子どもたちは興味深そうに聞き入っていました。詩は難しそう、という気持ちが少し和らぎます。
考えるよりもまず作ってみる!谷川俊太郎作「このへん」を子どもたちで朗読したあと、その詩のかたちを借りて、自分たちで詩を作ります。もちろん一緒にいる大人も参加します。
面白かったのは、詩を作る前に行う「言葉をためていく」作業。みんなで言葉をどんどん出していき、それをホワイトボードに残します。たとえば「よく行くところは?」という質問に、それぞれがどんどん答え、それが共有され使える言葉として残されていきます。「たばこやのおっちゃんのところ」、「古本市場」、「家のちかく」・・・。どんな音?「ざわざわ」「ぺたぺた」「賑わい」「カラスがカァー」「ゲームの宣伝の音」・・・。何が見える?「お店と人」「けむり」「平野川」・・・。たくさんの言葉が、自由な組み合わせで使えるようになっていきます。
出来上がったら、自分の詩をみんなに朗読して聞いてもらいます。どの詩も本当に面白く、自然とみんな聞き入ってしまいます。お互いの言葉をリスペクトする空間が自然と生まれていました。
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このへん
このへん どのへん
いくののへん
ゴツゴツ カタカタ かたいへん
このへん どのへん
おうちのへん
がたごと わいわい にぎわうへん
このへん どのへん
くだらもんのへん
わいわい、じゅるじゅる、にこにこ、ふわふわ楽しい人達 入るへん
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最初から勢いよく書く人もいますが、これは合ってるのかな?詩になってるのかな?と不安そうにして筆が止まってしまう人も。小泉さんが、正解も間違いもないよ、思いついたことをまず書くのが楽しむコツ、と声をかけます。3つ目の詩を創るころには、どの子どもも、誰かと相談したりすることもなく自分からどんどんと言葉を書きつけていました。むしろ大人の方が考えすぎてしまうのか、うーんとうなって苦戦していました。
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いってみたいな うそのないくに
そのくにでは
みんな思ったことをすぐ口に出す。他人にうそをつかないし、自分にもうそをつかない。
けどそのせいで心がきずつく。
わたしはその国で、うそを教えたい、うそでその人達に人間として成り立たせてあげたい
いってみたいな うそのないくに
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リズムが面白い詩、ものすごく考えさせられる詩、こんなことを考えていたんだ!と、その人について新しい発見がある詩。素晴らしく個性的な言葉がたくさん生まれました。
最後に講師の小泉さんから、「詩を作ることが楽しいと思ったら、いつでも作ることができます。小さなノートを持ち歩いて、考えたことや見つけた言葉を書き留めておくのも良いでしょう。あとで読み返してみると、そのときに自分が感じていたこと、考えていたことがわかって、とてもおもしろいですよ」とメッセージを伝えてもらいました。
活動が終わったあとのふりかえりシートでは、「新しく知ったことはありましたか?」という質問に「詩を書くのが、たのしくできること」や「詩は出来事だけでなく、人の気持ちがわかる。」と書いてくれた人がいました。
「自分の未来についてどんなことを考えましたか?」という質問の答えには、「自分の考えたことをおうまく表現しようと思いました。」というものや「自分の思ったことをはっきり言葉に出そうと思った。」という、自分のことを表現しようとする気持ちのあらわれた感想が多かったのも印象的でした。
面白い大人に出会うこと、互いに異なる他者を尊重して知ること、多様な形で自分を表現すること。クロスベイスの大切にしたい体験がいっぱい詰まった2時間になりました。
○子どもたちの感想
「今日は、とても楽しかったです。こせい的な人がいっぱいで、おもしろくって、ヤンキーの詩を書くのも楽しくなります。」
「こんなに詩が楽しいとは思いませんでした、詩が楽しいことを教えてくれてありがとうございます。」
「自分の意見考察を人に話す機会を与えてくれて感謝します。」
「自分の思いを伝えれたのが楽しい」