クロスベイスは、昨年8月から大阪市生野区にある生野コリアタウンの真ん中で中学生を対象にした学習サポート教室DO-YAを始めました。最初は、たった1名の受講生からスタートしました。いまは小学生にも対象を広げ受講生も増えてきています。さまざまな家庭環境や事情を抱えた子どもたちも少なくありません。日本人や在日コリアンの子どもたちをはじめ、ベトナムにルーツをもつ小学生の姉妹が通ったり、今年3月に韓国から地元の中学校に編入した日本語指導が必要な姉妹も来ています。
生野区は区民の5人に1人以上が外国籍住民です。最近は在日コリアンに加えて中国籍、特にベトナム国籍の住民が急増するとともに、60か国の外国籍の人が暮らす多文化・多民族のまちへと変貌しつつあります。また低所得の家庭に支給される就学援助費を受けている子どもは3人に1人以上です。こうした地域状況を反映してか、DO-YAの受講生の子どもたちも、さまざまな家庭状況や文化的背景を持つ子どもたちです。
勉強を教えるDO-YAの講師3名は、大阪大学大学院の修士課程を卒業した20代の
若者たちです。それぞれ、子どもの居場所作りに関わり続けている人、外国人の人権課題を専門にする人など、子どもに寄り添う基本姿勢を持った人たちです。中学生は個別指導で授業を進めていきます。DO-YAの授業の特長は、学校での授業の理解を促すために徹底した予習中心で進めることと、授業終了後に必ず講師との対話の時間が設けられていることです。「雑談」と称した対話の時間では、学校での友だち関係や将来のことなどについて本音で話をします。
クロスベイスでは、①自分のもっている力の「少し上に」目標を設定すること、②学校の先生や親の話も大切だけれど、最後は「自分のことは自分で決めること」、➂他人と比較するのではなく、「過去の自分と比較すること」、が大切であることを常に語りかけています。最初は少し緊張していた子どもたちも、いまは楽しそうに和気あいあいとDO-YAで勉強しています。とくに小学生を対象にした宿題DO-YAの時間は、自由な雰囲気のなか、笑い声も絶えません。基礎学力とともに、「自学自習」できる人になれるよう、その意欲と方法を身につけるための試行錯誤が続きます。