クロスベイスの学習サポート教室では、今年から毎月1回30分をとって「哲学カフェ」を始めました。共通のテーマを中学生、大学生・社会人の講師たちが年齢や肩書や国籍など一切関係なく車座になって話をするのです。何人かの中学生から「前にみんなで話したようなことは、やらないの?」という呟きをきっかけに、今回から拡大された時間で始めることになりました。
普段の授業時から教科学習を基本にしつつも、授業中や終了後に子どもたちとの「雑談」の時間を同じぐらい大切にしています。進路をめぐる「懇談」でもなく、何気ない日常の他愛無い「会話」でもなく、価値観のすり合わせでもない「対話」でもない、それらがすべて混在した「雑談」です。自己表現が苦手な子どもも少なくありません。また一つのテーマを正面から話し合う機会は、家庭や学校などにもほとんどありません。
8月27日、28日に行われた「哲学カフェ」では、「夏休みはどのように過ごしたのか」という導入の質問から始まった。子どもも大人も一人づつ話す。「部活ばっかし」「家族と海に行った」「コロナだったのでオンラインで親せきと会話した」など。日本語が不自由なフィリピンルーツの中3生は、最初は一生懸命に日本語で話をして、その後は流暢な英語で話をしだした。コ―ディネーターの事務局スタッフがすぐに日本語に翻訳。まだまだ全員で
話すことに慣れていないので、沈黙の時間も流れる。その沈黙の時間に耐え切れない子どもが横の友だちとしゃべり始める。
そうこうしていると、一人の中学生が部活と関連して「先生や先輩に怒鳴られても、しんどい練習を続けていけば成果が出ると思う」という発言を受けて、事務局スタッフから「それ本当にそうか。一流の選手は楽しまないと上手くならないと言ってるやん」と。「しんどくて楽しい。楽しくてしんどい。ん~」。少しづつ参加しているみんなの頭の中がぐるぐる回り始めているのが分かる。この時点でタイムアウト。
これからもDO-YA「哲学カフェ」は続きます。ふらっとになって他者と対話できる「感度」と「姿勢」を培うために、自分で考えることの楽しさを体得するために、何より他者との対話の結果、より自分の意見が深まり、より洗練された意見を共有できる喜びを体感するために。